任意整理をするときの注意事項

 
任意整理の最大のメリットは、将来発生する利息をカットして、毎月無理のない金額で分割返済をしていける可能性があることと、以前に高い金利で払っている期間が少しでもあれば、今ある借金を圧縮することができることです。

借入れや返済の方法によって、圧縮できる金額は変わりますが、この借金の圧縮は、法律で定められたものですので、該当する方は、確実に借金の減額に成功します。

 
借金の減額に成功した後は、主に以下の2パターンとなります。
 

(1)借金がゼロになり、さらに払いすぎの利があるケース

   → 過払い金返還請求へ
 

(2)借金の圧縮には成功したが、なお残金が残っているケース

   → 残額の分割支払いの和解へ

 
一般的に、上記の(2)のケースを任意整理と呼びます。

大手業者・クレジット系の会社のほとんどは、将来の利息をカットして、分割での支払いをしていく和解をすることができますが、法律上の強制力はなく、貸金業者が応じなければ、任意整理での和解ができず、結果、自己破産をすることになるケースもあります。
 

任意整理成功事例 Aさん 男性34歳

職場での付き合いから、つい借金を始めてしまったAさん。 
最初に借入れを始めたのは、約7年前とのこと。
借金総額が250万円となり、返済が厳しくなってきたので、ご相談頂いた。

甲社については、借入れ当時の利息は、20%後半だったと記憶してらっしゃったので、一部の業者については、借金が減る可能性があること・もともと法定金利で借り入れていた場合には、借金の圧縮はできないが、将来の利息をカットできる可能性が高い事をお伝えし、ご依頼をお受けした。

 

【当事務所の対応】

借入先をお聞きしたところ、大手の消費者金融甲社・乙社とクレジットカード会社丙社の3社であった為、分割弁済と将来の利息をカットして和解できる可能性が高い事をお伝えした。

 

【結果】

甲社については、総額120万円あった借金が、37万円ほどに減額したため、月1万円の37回払いで和解をした。
 
乙社、弊社については、もともと法定利息であった為、借金は減らなかったが、2社とも、将来利息をカットし、甲社については、月1万4千円の57回払いで和解し、丙社については、月1万円の40回払いで和解した。
 
借金の圧縮と、将来利息のカットに成功した為、初年度だけで考えても約120万円分の返済金額の減額に成功した。

当事務所では、ご面談の段階で、任意整理ができない会社は、なるべく事前にお話しいたしますが、貸金業者等の経営方針の変更などにより、突然分割返済での和解ができなくなることもありますので、注意が必要です。

基本的に過払い金をほとんど払わない会社は、任意整理も難しいと考えて良いと思います。
なお、貸金業法改正後に設立された、町金については、任意整理が困難なケースが多いです。

任意整理が困難な業者からの借入れのばあいは、以下の2通りの方法しか取れる策が無くなってしまうため、以下の方法が取れない場合には、借金の整理自体が困難となってしまいます。

 

司法書士・弁護士に依頼をせず、直接本人が貸金業者と交渉する

任意整理に応じない会社は、司法書士・弁護士が介入すると、一括返済しか認めないという態度をとってくる会社がほとんどです。

しかし個人の債務者が返済の相談を直接すると、毎月の返済額を少なくするケースも見受けられます。
(但し、利息は通常通りかかります。)

返済期間は、長期となってしまいますが、自己破産ができない事情がある場合には、この方法でしか、借金の整理をすることは事実上できなくなってしまいます。
 

実際の事例 78歳 女性 Bさん

甲社から借入れをしていた、Bさんは、年齢も年齢なので、支払っていくことが厳しくなり、当事務所にご依頼頂いた。

借金の残額は、約25万で、借入期間は、5年程度であったが、2年前より、返済が厳しくなり、甲社に電話したところ、利息のみ支払ってくれればよいとのことだったので、約2年間利息のみ支払っていた。
利息のみの支払いであったため、借金の元金は全く減っておらず、また、過払いは、発生していなかった。
現在毎月 約4000円弱を支払っている。

 

【当事務所での対応】

甲社は、任意整理が困難な可能性があったが、Bさんが高齢であったことと、年金受給額も低額であったため、当事務所でご依頼をお受けして、交渉をしてみる事となった。

Aさんには、債務整理が困難な会社であるので、ご依頼頂いても、手続が難しい事をお伝えし、試しに交渉してみる事を伝えた。

 

【結果】

やはり、甲社は、任意整理に応じないどころか、一括支払いでなければ、和解に応じないという対応であった。
やむなく、甲社担当者に、ご本人が返済計画の見直しのために直接、甲社に電話するので、返済計画の見直しに応じて欲しいと伝えたところ、当事務所が任意整理手続きから手を引くのであれ、ご本人との交渉に応じるとのことであった。
  
その後、甲社の分割返済を再開したBさん。
以前と同条件での返済であったが、毎月の返済額については、息子さんの援助も受け、支払っていくとのこと。
なんとも忸怩たる思いのするご依頼でした。

 

自己破産をする

任意整理に応じない会社は、債務者が自己破産をすると、返済を受けられなくなるため、絶対に損であると思うのですが、一括返済できないのであれば、破産してくれという会社も多いです。

他の会社が分割返済に応じてくれたため、任意整理予定であったが、1社のみ分割返済に応じず、自己破産をせざるをえなくなるケースもあります。

 

実際の事例 56歳 女性Cさん

Cさんは、ご主人の体調不良が原因で、生活費不足となり、約5年前に、貸金業者より借金を始めてしまった。

Cさん自身も働いたが、ご主人の体調は回復せず、結果、4社から、130万円ほどの借金となってしまった。
すでに2年ほど前から、借りては返すの自転車操業状態であった為、やむなく、当事務所にご相談頂いた。

 

【当事務所の対応】

借りたものは返したいとの強い希望もあり、また手続き費用が任意整理の方が低額で済む為、任意整理にしたいとの事であったが、4社の内1社(乙社)が任意整理が困難な会社が含まれていることから、最終的には、自己破産をせざるを得ない状態になるかもしれない事をお伝えし、ご依頼をお受けした。
  
また、乙社についてのみ任意整理から外して、他社のみ任意整理することも検討したが、乙社についての毎月の返済額が多かった為、乙社を残しては、今後も返済をしていくのが厳しいと判断し、ご説明の上、当事務所でご依頼をお受けした。

 

【結果】

3社については、5年から7年返済で将来の利息もカットして和解に応じてくれたが、乙社については、遅延損害金も含め一括返済でしか和解に応じないとのことであった。

そこで乙社のみ、ご本人が直接交渉し、毎月の支払額を減額できるか確認したところ、一切応じないとの事であったので、やむなく、自己破産をすることとなった。

 

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